友人から手足が冷えると相談を受けました。
暖房をつけているし靴下も履いているのに、
先端が底冷えするとのことでした。
女性も勿論ですが、男性や高齢者でよくみられる症状です。
日本のとある統計では、
20~25歳で四肢の冷えを自覚する女性は6-7割に上るそうです。
不思議なのは、四肢の冷えを自覚している患者では、問診表で肩こりや頭痛、便秘、月経不順等を伴うことが多いといわれます。
体が冷えるだけで日常生活の質が下がり、日々悩まされることになります。
1.冷えの種類
体の冷えには以下の型があると言われています。
・全身型
・四肢末端型
・上熱下寒型
・体幹異常型
全身型では、代謝の低下により体温自体が全身性に低下するものを指します。
倦怠感も強く、内蔵も冷えています。
十分な休息をとり、手足や腹を温めることが必須です。
軽い有酸素運動を行い冷食を控え、腹八分目にすることが推奨されます。
葱や生姜等、温める食品を摂取するとよいです。
四肢末端型は若年者に多く、筋肉量の不足や食事量低下に起因することが多いと言われます。
直接温めることや、冷やさないよう下着等を工夫すること、夜更かしや生活の乱れを是正する必要があります。
運動不足の解消のため有酸素運動を習慣化し、筋肉トレーニングにより筋量の増加を図ります。
上熱下寒型は下半身が冷え、逆に上半身が熱い場合です。
気血の巡りが悪く、のぼせや火照りを訴えます。
イライラや頭痛、肩こりや肌荒れを伴うことが多いです。
精神的な要素が関わっており、その原因を除くことやリラックスが必要です。
長時間座位の仕事やタイトなスーツ等も原因となります。
冷食を控え、糖質や脂質を控え、食物繊維や酢の摂取が良いといわれます。
体幹異常型は慢性的なストレスによることが多いです。疲労があるものの眠れず、集中力が低下している状態です。
様々な症状(不定愁訴)を伴い、病院を受診することがあります。
気分転換や深呼吸、就労環境の改善が必要です。
テレビやPC,スマホの使用を控え、十分な飲水と入浴が推奨されます。
香り高い柑橘系や生姜、香草等が有効です。
2.対策
有酸素運動
まずは運動習慣をつけましょう。
他の記事で詳しく書きますが、有酸素運動の効能は多岐にわたります。
可能な限り若いころから習慣化し継続することが、将来的にも重要です。
週1度以上、30分以上持続し、心拍数>100/分程度の運動が良いと言われます。
詳しく知りたい方は、
上記厚生労働省が作成している「健康日本21」をご参照下さい。
筋肉トレーニング
筋肉に負荷をかけることで、維持ないし増強が必要です。
こちらも別の記事で書きますが、近年筋肉量の減少が様々な疾患につながるため問題となっています。
最も効率のよいスクワットを週1で行うのが良いでしょう。四肢末端型ではふくらはぎの筋トレも重要です。
スクワットの注意事項ですが、腰をまっすぐ落とし、膝がつま先より前に出ないようにすることが重要です。
【腰痛改善】スクワットで腰を痛める原因は?改善策と正しい方法を解説 | RETIO BODY DESIGN
温める
古典的ですが非常に重要です。
日中の恰好では、首や手首、足首を露出しないことや、在宅中や就寝時に保護する必要があります。
特に風呂上りは冷えやすいので、
早めに保護して冷やさないようにすることが重要です。
上記のような商品を、冷えの型に合わせて組み合わせると良いと思います。
それでも布団の中で足先が冷える場合は、湯たんぽがお勧めです。
直接温めることが一番効果的です。
食事
過食や糖質/脂質の摂りすぎ、水分量の不足は是正が必要です。
逆に、歪なダイエットにより炭水化物やタンパク質量が少ない場合もあり、体を維持するためには必要なためある程度は摂取が必要です。
夏であっても冷たいものも基本的には推奨されません。清涼感はありますが、内蔵が冷えて全身の調子が悪くなるためです。
中国人はこの事に敏感で、冷たいものを摂取したがりません。
日本に来た中国人が日本の弁当文化を絶賛していましたが、唯一冷えている事が欠点だと指摘していたのは有名な話です。
白湯を飲む習慣は有効です。
朝起きた際に一杯の白湯を飲むことで、代謝上昇を早め内臓を温めます。
温めるための食材については別の記事で書こうと思います。
漢方薬
こういった類の症状に対して、西洋医薬はあまり効果がありません。
そもそも西洋医学は、症状の原因を突き詰め、その特定の原因に対して鋭く単一の薬剤を使用することが多い学問です。
そうなりますと、生活習慣の悪化に路る諸症状や、特定できないような多彩な現象に対しては有効とは言えません。
ある程度処方経験のある医師でもよいですが、
可能であれば漢方の専門医に相談することをお勧めいたします。
結局は上記の様な習慣が重要であり、
何か一つの薬や食材で簡単に治るものではないということです。
日々の生活に取り入れ、未病の予防に努めてください。
ではまた