もはや日本人の国民病ともいっていい疾患
花粉症です。
通年花粉は飛んでいますが、特に春は症状が出る人が多いです。今回は花粉症について、その対策も含め記事にします。
花粉症とは
抗原(こうげん)が対外から侵入し、生体防御のためにアレルギー反応が起こります。その防御反応による諸症状ををまとめて花粉症(アレルギー性鼻炎/結膜炎)と呼んでいます。
つまるところ普通の防御反応なんですね。
しかし敵が多かったり反応が強いと症状に困るわけです。
アレルギー反応には四つの型があり、Ⅰ~Ⅳ型に分けられます。花粉症はⅠ型に分類され、抗原の侵入から5分程度で反応が起こる即時型と言われています。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息も同じ分類に入り、肥満細胞やIgE、ヒスタミンといったどこかで聞いたことがあるような用語も関連しています。
分かりやすく勉強してみたい方は、アニメ「はたらく細胞」一期の第五話「スギ花粉アレルギー」を見るとよいでしょう。
花粉症の原因
言わずもがな、花粉です。
出典:東京都環境局「PM2.5対策」
上図の様に頭髪より小さいのが分かります。
何となくの対策では不十分なことは想像に難くないでしょう。
花粉粒子は非常に小さく軽いため、200km先でも到達します。そのため、近くに木がなくとも広範囲に飛散するため、多くの方が苦しむこととなります。
近年患者数は増加しており、環境省の統計では東京都の48.8%が罹患しているそうです。平成10年と平成20年の10年間で1.5倍に増加したとのことです。
花粉症環境保護マニュアル「患者数の推移」
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/1_chpt1.pdf
増えている原因は二つあります。
一つ目は伐採割合が減っていることです。昭和40年頃から資材用に植林されたものの、需要が減りほったらかしになっているためです。
二つ目は樹齢の高い木が増えていることです。これは伐採率低下による結果ですが、樹齢が高い樹木ほど花粉量が増え、樹高(じゅこう)が高い程遠くに飛散しやすいと言われています。
症状
言わずもがなですが、ひとつだけ。
非特異的な症状として悪寒や倦怠感があります。
この症状が強いと生活の質が下がります。
冷えを訴える方もおり、体調不良が花粉症によると気が付かない例も多数あります。
対策
以下の様な対策が考えられます。
・マスク
・眼鏡と服装等
・西洋医薬
・漢方
・薬膳
・寄付
マスク
マスクの装用で花粉量を10-30%に減らすことが確認されています。特に不織布マスクは線維が細く密で、花粉の捕獲量が多いです。
また、内部にインナーマスクを挿入すると数%まで花粉量を減らす効果が確認されていますのでおすすめです。
眼鏡と服装等
普通の眼鏡でも65%程度の暴露量減少が確認されています。この時期に伊達メガネを装用することも対策になるということです。
服装では、ウールに花粉が付きやすいため、避けるのが無難でしょう。
余談ですが、家に入る際に払ったり、空気清浄機を使用することがどの程度有効か不鮮明です。上図でも示しましたが、あの小ささの粒子が多数付着しています。恐らく焼け石に水でしょう。
外套は玄関に置くことや、帰宅後の洗顔や入浴は有効と考えます。
西洋医薬
基本的には内服や点鼻の抗ヒスタミン薬が中心となります。
最近は舌下錠による減感作療法や、3週間間隔で投与する皮下注製剤も出ています。
内科医を受診すればだれでも手に入ります。
漢方
体外から侵入するものを外邪(がいじゃ)と呼び、いわゆるアレルゲンを指します。それに対する抵抗力を衛気(えき)といいます。
体内の衛気が不足するとアレルギー症状が現れます。関係する臓器は肺と脾で、何れも気を取り入れて活用する臓器です。
東洋医学では症に対して漢方が使用されます。
衛益顆粒 衛気を補う
補中益気湯 肺脾を整える
健胃顆粒 脾を整え水分代謝の改善
小青龍湯 中等度の体力で水様性鼻汁に
辛温薬で結膜炎を悪くすることがある
麻黄附子細辛湯 鼻水が少ない、小青竜湯で無効
体力のない方や高齢者
手足の冷え
簡単に分類すると、
運動不足や生活の乱れあり
外気温に左右されやすい
→衛益顆粒によるバリア機能強化
体力があるが胃腸が弱い
→健胃顆粒
体力がなく鼻汁が強い
→小青竜湯
となります。
また、ツムラ等の調整顆粒でもよいですが可能なら煎じ薬がお勧めです。
漢方の専門医によっては、煎じ薬でなければ意味がないと豪語する先生もいる程で、効果は大きく異なります。
しかし生薬を自分で煮出す手間があることや、においが強いため鍋や容器に臭いが移ること、費用が少し割高になる事が難点ではあります。
興味がある方は日本堂の店舗で相談してみて下さい。伊勢丹等に入っていることが多いです。
一応ネットでも調整顆粒は一部が購入可能です。
薬膳
いわゆる食事療法です。
ただ食材を食べるだけで変わるはずがないと考える方が多いですが、習慣化するとその変化に驚くと思います。詳しくはいずれ記事にします。
今回は肺と脾に作用し花粉症対策になる食材を簡単に紹介します。
気を補う食材 穀物や芋、豆、キノコ類、南瓜、キャベツ
水毒症に 小豆、ハト麦、もろこし、冬瓜
逆に甘いものやお酒、
濃い味付け、脂質の多いものは
水をためる性質あり注意
肺を補う 薬味やスパイス、大根、白菜、ゴボウ
脾を補う 薬味やスパイス系、白胡麻、蓮根
腎を補う 黒胡麻、クコの実、胡桃、ニラ、栗
滞りを改善し代謝促進 紫蘇
以前の記事で御紹介した豆乳を使ったものが腎を補う食材の宝庫であることが分かると思います。
詳しくは以前の記事をご参照下さい。
最近はこれに白胡麻を混ぜて飲んでいます。
漢方の先生を受診した際にも、一酸化炭素中毒で他の臓器は軽い障害が残っているが、腎臓だけ改善傾向にあると言われ驚きました。
毎日2回飲み、習慣化すると診察でもわかるような変化が出るという証拠ではないでしょうか。
紫蘇には、気血が溜まり滞っている「気滞・瘀血(きたい・おけつ)」に効果があります。鼻閉等には特に有効です。
また、ポリフェノールの一つであるルテオリンには肥満細胞の強力な安定化による抗アレルギー効果が報告されています。
寄付
少し変化球ですが、寄付という手があります。
東京都農林水産省振興財団が行っている花粉対策事業に、今ある杉を花粉の出づらいものに置き換えるという事業があります。
そもそもの原因が無計画な昭和期の植林ですから、国を挙げて対策に乗り出してほしいものです。しかし予算のことや製薬会社の意向もあり、大きくは動けないようで。
詳しい内容は以下にリンクを貼っておくので御参照下さい。
本日の内容は以上となります。
動脈硬化等もそうですが、花粉症も日々の習慣により緩和が可能です。
色々と取り入れてみては如何でしょうか。
それでは