日々平穏

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なんちゃって美食家を目指して

医療者向け00 Parkinson病 オピカポン

今回は完全に医療者向けです。

特に薬剤師、脳神経内科医を中心に、

パーキンソン診療に携わる方を対象にしています。

 

オピカポンについてどう思っているか聞かれ、

何人にも説明が面倒なのでこちらに書くことにしました。

 

 

薬価

エンタカポン100mg(54円) Ldopa内服に併せて

              最高16000㎎

オピカポン25㎎錠(972円) 眠前1錠

 以下データは海外で50㎎カプセル

 血中濃度は25㎎錠=50mgCとのこと

 

効果 

50㎎でエンタカポン200mg4T4×と同等のOff抑制効果

 プラセボ比較で116分 vs 97分で有意差なし

 4T4×とすると 20-30分

 

患者の主観では全般性改善度が72% vs 56%とややオピカポン優位

→かなり主観的でUPDRS part Ⅲのデータなし

 

LEUでエンタカポン1.2、オピカポン1.6

→切り替えでLdopaの減量必要(可能)

→Lodpa使用量を減らせる

 

夜中や起床時Offの改善の報告も(詳細未確認)

→Agonist使用なしで実現は有効

 

副作用

ジスキネジアが14% vs 7%でオピカポンで多い

ただし、10分前後で収まる投与直後の日常生活に影響のないDyskとのこと

 

感想 

エンタカポン200mg4T4×が必要な症例=ある程度進行期?

進行期で動けない症例に対しての薬剤がどんどん高価に

 どんな症例にでも使っていいとは思えない

 廃用の進んだ低体重、高齢、低運動機能等の条件ではややover treatment?

  動けない/動かない低運動機能患者を生活指導なし、

  薬剤のみで加療する意義や如何に?

軽症例の方が使う意義はある?

 WOff+軽症例に12.5mg錠 

  一応薬理的にも半量可能

  血中濃度代謝産物濃度も12.5mg > エンタカポン

 

利点 

➀一回のみ、②Ldopa減量可、③夜起床時Off対策

 

結論 

オピカポン12.5mgでLdopa減量を試し使用感を得る

長期の有効性と安全性(dyskinesia)の報告をまつ

 

コロナワクチンの副作用について

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新型コロナウイルスSARS-CoV-2)のワクチンが日本に到着しました。

 

世界中で接種が拡大する中、わが国でもやっと有効な予防策がとれるようになったことになります。

 

しかし私の両親からも、強い副作用の報告をみて接種を足踏みしているとの意見をもらいます。

 

断片的な情報が多い中、有効性や安全性、接種予定やどうしたらいいのかをまとめてみました。

 

 

 

結論

先ずは皆さんが知りたい結論から。

 

ワクチンは接種した方が良いと考えます。

それは有効性と危険性を天秤にかけた際、有効性が高いからです。

 

詳しくは下で書きますが、90%を超える予防効果があり、感染の心配がなくなるようなワクチンであることから、有効性の高さは既に周知の通りです。

心配が無くなれば経済も周り、より良い方向へ向かうでしょう。

公衆衛生の観点からも同じことが言えます。

 

安全性に関しても、一部アレルギー反応により重症化した症例が報告されていますが、その頻度は非常に低く、普段何気なく内服している抗生剤等よりはるかに少ないことが分かっています。

 

いわゆるzero-riskは不可能です。

危険性が全くない、安全で有効性のみの選択肢は今後もないでしょう。

どちらがましかを考え決断することが重要です。

 

ワクチン接種で足が動かなくなった看護師のニュースを見た!

という意見を聞きました。関連性はまだ実証されていませんが、一定数重篤な副作用がでることは「当たり前」です。

問題はその頻度にあるという点を認識することが重要です。

 

遺伝子が書き換えられるという意見を聞きますが、構造上あり得ません。

 

それでも心配がぬぐえない方は接種しないという選択でよいと思います。但し、いつまでも感染の危険性は残り、外出時や就業時には現在と同じ感染対策を継続することが前提となりますのでご注意下さい。

 

 

ワクチンの投与方法

日本に到着したのは、アメリカ製薬会社Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)連合が製造しているワクチンとなります。

 

当ワクチンは二回接種です。3週間の間隔を空けて二度接種する必要があります。

 

接種は筋肉注射で、インフルエンザワクチンより深く刺す必要があります。

 

 

ワクチンの接種予定

Pfizer社とは7200万人分、AstraZeneca社とは6000万人分、Moderna社とは2500万人分の契約が既に結ばれています。

 

御存じの通り、既に第一便が成田空港に到着し、医療従事者の接種が始まっています。

2月下旬から400万人の医療従事者に、

3月上旬には3600万人の高齢者に、

4月には820万人の基礎疾患のある方に投与が予定されています。

 

つまり三ヵ月で、予定されている6000万人の接種の内80%が完了するという計画で、これはなかなか早いペースでしょう。

 

仮に6000万人の接種が終わっても、人口の40%であることを考慮すると、まだ道半ばであることは言うまでもありません。

 

公衆衛生の観点からは、70%の方が免疫を持って初めて意味があると言われています。

 

余談ですが、成田空港に到着したというニュースが出ましたが、あれは非常に危険な事だと御存じでしょうか。

実は政府から各メディアに対して、テロリズム等の危険性を考慮し報道しないよう通達があったのです。

しかし各社は全く守りませんでした。襲撃があれば、政府の責任を問えるからでしょうか。

この有事に身内を攻撃するなど、いい加減にしてほしいものです。

 

 

ワクチンの効果

発症予防効果は95%と言われています。

国ごとに多少数字が異なりますが、概ねこの数字です。

 

つまりワクチンを接種すると5%の確率でしか感染しなくなります。

飛沫感染だなんだと気にしなくてよくなるということです。

 

接種が最も進んでいるイスラエルでは、1-2月に死亡した患者の97%がワクチン未接種であったとの報告が挙がっています。

 

保健機関である「マッカビ」の報告によると、接種を終了した患者での検査陽性率は0.001%であったとのことです。

 

www.timesofisrael.com

 

 

ワクチンの副反応

最も気になるのがこちらになるかと思います。

そのほとんどはアナフィラキシーによるものです。

 

アナフィラキシーとは、過剰な免疫反応を指し、倦怠感や頭痛から、血圧の低下や臓器不全等症状は多彩です。

 

本ワクチンに含まれる「基材」である、ポリエチレングリコール(PEG)が原因であると言われています。

 

報告のある副反応は以下になります。

・注射部位の症状 

・発熱、倦怠感、頭痛

・筋肉痛、悪寒、関節痛

・消化器症状 嘔吐、下痢 

・下肢麻痺

・痙攣

 

特に注射部位の痛みは他のワクチンよりも強いとされるため、騒ぎ立てるような記事が多いのもそれが起因なのでしょうか。

一部因果関係は不明ですが、下肢麻痺や痙攣の報告があるようですが、非常に少ないと考えられます。

 

アメリ疾病対策センター(CDC)の報告では、2020年12月までにに189万人がワクチンを接種し、21人がアナフィラキシーを起こしたと報告しています。

 

www.cdc.gov

 

中には死亡例もあるようですが、直接の因果関係は証明されていません。

特にノルウェーでの報告が多く、29人が報告されています。全例が重篤な基礎疾患を持つ高齢者であったとのことです。

 

リンクを張れなかったので、

「Norway Raises Concern Over Vaccine Jabs for the Elderly」

で検索してみて下さい。

 

副反応の危険性が高い方の特徴として以下が報告されています。

 ・アレルギー体質(サルファ剤、卵等)

 ・アナフィラキシーの既往

 ・衰弱した高齢者

 ・喘息、蕁麻疹の既往

 (・スギ花粉症) 

 

上記の様な既往がある方には注意が必要ですが、発症した際にも対応策があること、既に報告されている発症者が後遺症なく軽快していることも含めると、一部の症例を除き過度な心配は無用化と考えます。

 

特に注意が必要なのは、アレルギーや喘息等が現在活発な方、全身状態の悪い高齢者等でしょうか。

 

 

以上断片的な情報をある程度まとめてみました。

少しでも参考になれば幸いです。

 

ではまた

一酸化炭素中毒に対する釣藤散の効果

以前の記事で一酸化炭素中毒に罹ったことを書きました。

 

khachi.hatenablog.com

 

その治療ないし予防に対して、

釣藤散(ちょうとうさん)の使用について言及していました。その効果について追加で書きたいと思います。

 

 

 

釣藤散を使用した感想

結論から言うと、効果大でした。

以下の様な症状がありましたが、確実に改善傾向にあります。

 ・頭痛

 ・全身倦怠感 感冒

 ・横隔膜周囲の筋肉痛

 ・左肩の凝り?筋肉痛?

 ・軽度の嘔気

 

上記の様な症状が改善せず持続していました。

仕事に復帰したのですがなかなか集中できず、疲労感もあり非常につらい状況でした。

 

しかし釣藤散を使用し始め、翌日には6割程度の症状が改善していきました。以降も徐々に平時と変わらない状態まで戻ってきています。

 

西洋医学に頼ってもおそらく採血して問題がないと言われ、解熱鎮痛薬で観察であったでしょう。

漢方薬の妙味はこういったところにあるのだと再認識しました。

 

 

釣藤散とは

釣藤散(ちょうとうさん)は漢方薬の一種です。

11種類を配合した生薬で、ツムラでは47番に該当し、主に虚証(きょしょう)に対して使用されます。

 

虚証とは、簡単には活気のない方を指します。

詳しくはいずれ記事にします。

 

 

昭和期漢方復権に貢献した矢数道明先生曰く、

「虚羸(きょるい)して気逆(きぎゃく)するを鎮静する薬能がある」と述べています。

 

要約すると、

「体力なく痩せ、気が上に逆流することを防ぐ」となります。

 

虚羸(きょるい)とは体力が衰え痩せてくることを指します。つまり釣藤散には体力を回復し、補脾(ほひ)作用が期待できます。

 

さらに気が巡り、下半身に下降せず上昇していたものを防ぎ循環が改善あうるため、慢性的に経過する頭痛やめまい、不眠に使用することがあります。

 

東洋医学的に、脾臓には飲食物の消化・吸収を助け、体中に気を配る働きを行うと考えられています。それを補う効果があるわけです。

 

西洋医学的には、血管を拡張し血圧を下げる効果や、活性酸素除去、中枢神経におけるセロトニンドパミンの賦活、末梢循環改善効果があると報告されています。

このためか、脳梗塞などの後遺症で頭痛やめまいを訴える方に処方されることも多いようです。

 

症例によってはかなり使える漢方薬だと再認識しました。

 

ではまた

一酸化炭素中毒による入院

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今回は少し番外編です。 

実体験に基づいた注意喚起になります。

 

一酸化炭素中毒で入院しました。

入院期間は1日と短く、症状も軽症で済みました。しかし体調不良が持続しており、後遺症の懸念もあるため記事にします。

 

 

経過

某日夕に暖房器具が壊れました。その日は気温も低く、日が落ちるに従い寒くなっていました。

 

止む無くキャンプで使用している炭を火鉢で使用し、換気をした状況で15時から19時まで使用しました。鎮火してから3時間後に就寝しました。

 

嘔気と嘔吐、頭痛で22時に起床し、異変に気が付きました。

頭部全体に締め付けるような絞扼痛があり、胃の不快感と嘔気で悶絶しました。その後合計6回嘔吐しましたが、発熱もなく腹痛もないので感染性胃腸炎にしてはおかしいと思いました。

 

病院を受診し、念のため炭の使用を伝えたところ、採血で一酸化炭素中毒と診断されました。

即入院となり、直ぐに高圧酸素療法を受けました。

 

以降嘔気と頭痛は迅速に改善し、翌日に退院となりました。

 

一酸化炭素中毒について

一酸化炭素とは、炭素を含む物質が不完全燃焼により酸化された際に生まれる気体になります。無色無臭であり、発生していることに気が付かないことが多いです。

 

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東京消防庁<安心・安全><トピックス><住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!> (tokyo.lg.jp)

 

上図は東京消防庁が掲載している一酸化炭素による事故発生状況統計です。思ったほど多くはないことが分かりますが、その中に入ってしまいました。。

 

そのほとんどは炭が原因で、換気が不十分であったり、部屋の構造上溜まりやすい場合に起きることが多いです。

 

症状の重さは4割は軽症で、3割が中等症、2割で重症となります。

 

軽症ではめまいや頭痛、嘔気ですみますが、

中等症以上では意識障害や痙攣等が見られます。

重症では呼吸機能障害や心機能障害、中枢神経に異常を来します。

 

また発症から2日~数か月で遅発性中枢神経障害を来すことがあり、一旦改善しても注意が必要です。全症例の10%でみられ、高齢や重症度が高い場合に起きやすいことが報告されています。

 

また、軽症例でも脳波や脳MRIでのみ変化が見られた軽症例もあり、注意が必要です。

 

治療について

基本的には酸素投与と対処療法です。

高濃度酸素や高圧酸素療法が基本で、呼吸状態や血圧の変動があれば対処することになります。

 

睡眠不足含め疲労回復にも使用できますので、ご参考までに。

 

根本的な治療や起きた障害を改善する治療がないため、可能な限り早期に発見し、酸素投与をする必要があります。

 

特に高圧酸素療法は唯一の治療方法で、施行できる施設も限られるため、可能性がある場合は搬送/受診時の病院選びを慎重に行ってください。

 

遅発性中枢神経障害も治療薬はありません

しかし、一部報告では、漢方薬である釣藤散に予防効果が報告されています。

また、後遺症としての頭重感等にも効果があるようで、唯一の手段とも言えます。

 

注意事項

炭を使用すること自体が悪いとは思いません。

燃料費は安く、ぬくもりも感じます。

 

しかし想像以上に換気を要し、部屋の構造上籠りやすいことがあります。

事故件数自体もそこまで多くないものの、程度によっては後遺症が残ることが問題です。

 

換気に関して言えることは、可能であれば前後左右の2方向へ空気が出入りする換気を心がけてください。

 

頻回の嘔吐の影響か、あるいは後遺症なのか、私も全身のだるさと筋肉痛が取れずにいます。

食欲もあまりなく、食べると嘔気が出現する状態です。

 

釣藤散を試してみようと思うので、また記事にするかもしれません。

 

ではまた

睡眠01 睡眠不足の現状と原因

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現代人は睡眠時間が短い。

 

Short sleeperなんていう言葉があるように、

生産効率であったり、生活習慣であったりと、

理由は様々ですが短い人も多いようです。

 

しかしその変化が肉体にどんな影響があるのか、

未だ十分には分かっていません。

 

しかし近年睡眠不足による変化について、

多数の報告が上がる様になりました。

今回はそれを踏まえ、わかっている範囲で書こうかと思います。

 

 

1.日本人の現状

日本人の睡眠時間は減少傾向にあるようです。

以前から御案内している「健康日本21」にも記載がありますが、就労環境や生活習慣、精神的な要素も相まって、睡眠時間が少ないひとが増えています。

 

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    出典:厚生労働省「睡眠時間の国際比較」

 

2.睡眠不足の健康被害

睡眠障害睡眠時無呼吸症候群生活習慣病も増加傾向にあり、その関連性が指摘されています。

 

直接的に影響しているわけではないにせよ、原因の一つになっているのは疑いようがありません。

 

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出典:厚生労働省「睡眠不足と睡眠時無呼吸症候群の関係」

 

上図は睡眠時間と疾患の関連性を表した図です。

主に生活習慣病との関連性が報告されています。

 

日本では、京都大学が行った7,000人もの患者を集めたコホート研究があり、こちらでも同様の結果が出ていました。

 

コホート研究とは、特定の原因を持った方とそうでない方を追跡し、疾患の発症率等を調べる観察研究の一種です。やや確実性に欠けるものの、判断基準にはなるため参考とします。

 

academic.oup.com

 

以前にも書きましたが、若年者でも睡眠不足によって、脳内に認知症の原因と言われるアミロイドβが蓄積することが分かっています。

 

睡眠不足と認知症の関連は、恐らく強いと考えられます。こちらにReview articleを添付しますので、興味のある方はどうぞ。

 

academic.oup.com

 

3.原因

以下の様な原因が想定されます。

 ・就業環境

 ・生活習慣 

 ・健康意識の欠如

 

就業環境

夜勤やシフト制就業、残業等により睡眠が不規則になる方が増えています。睡眠時間も短くなっており、この30年その傾向がずっと続いているのが現状です。

 

これは日本経済の低迷とも関係していると言われています。

旧態依然としたbusiness modelや、変化しない生産性から賃金が低下し、その分時間をかけなくてはならないためでしょう。

国は税金を増やす一方で、国民の意識も低く欲がないため新しいものが生まれませんでした。

 

生活習慣

上記賃金の低下も影響していますが、食の変化と運動習慣が関係しています。

食の西洋化で脂質摂取が増加し、安価で手に入る消費を目的とした食品が蔓延しています。

 

運動習慣も同様で、ここ数年はスポーツを行う方が増えていますが、今の40歳以上の方は基本的に趣味でもなければ運動習慣がありません。

仕事と家庭で手一杯で、手が回らないというのもあるのでしょう。

 

健康意識の欠如

何より大きいのが意識の問題でしょう。

健康とお金は基本的に勝ち取るものであり、与えられるものではありません。

自ら行動し意識しなければ基本的には良くなることはないのです。

 

そういった知識はない方が多く、教育現場でもあまり重視されないため、そもそも知らない方が多いのが実情です。

 

「知らない者は探さない」

 

知らなければ問題があることも分からず、注意も払わないという意味です。

情報がどれだけ重要か、痛感する次第です。

 

実は海外では睡眠教育が採用されている国が多数あります。

幼少期から睡眠の重要性や健康被害等を教えるそうです。

 

我が国も、数式や実用会話に使えるか分からない英語より、金融や性、健康についてもっと教える必要がある気がします。

 

 

次回は睡眠不足や不眠への対策について書こうかと思います。

ではまた。

 

紅茶00 紅茶の効用

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紅茶「も」美味しい。

 

香りもさることながら、水色(すいしょく)も楽しく、

食事にも間食にも合う優れものです。

 

珈琲同様、紅茶にも健康的な効用があるのではとの報告があります。

しかし珈琲ほどではなく、特に緑茶の報告が日本では多いです。

 

なのでわかっている範囲で御紹介します。

 

 

1.紅茶の効用

紅茶に含まれる成分は、珈琲以上に多彩です。

効果もまだ十分に分かっていないことも多く、

統計学的に確度の高いものは殆どありません。

 

しかし日本を中心に、カテキンポリフェノールの効用が多数報告されています。

珈琲同様、日常生活に取り入れることは長期的な目線では利益があると考えています。

 

以下の様な報告が挙がっています。

 ・糖質と脂質吸収抑制→動脈硬化の抑制

 ・認知症の予防

 ・殺菌作用

 

糖質と脂質吸収抑制

両者ともポリフェノールの、特にフラボノイド類とフェノール酸の効果が多数報告されています。

フラボノイド類は6種類あり、その中のフラバノールにカテキンが含まれます。

 

食事に紅茶を追加した症例の血糖値が低下したことや、すい臓からのインスリン分泌が制御されたこと、果ては既に進行している動脈硬化に対する効果を指摘する文献もあるほどです。

 

上記を踏まえて、2,003年にはWHOからも正式に声明が出されました。

「血管障害リスクの低減機能は”possible”である」

とのことです。 

 

www.who.int

 

認知症の予防

これは他の成分と同様で、長期的な効果に関して確たる報告はありません。

しかし、珈琲と同様に抗酸化作用が指摘されており、それが遠因的に認知症の予防になる可能性が指摘されています。

 

こちらもカテキンによる報告が多く、緑茶が特に注目されています。

 

殺菌作用

こちらに関しては意見がかなり分かれています。

歯の記事にも書きましたが、マウスウォッシュで洗っても細菌叢は直ぐに元に戻ることを考えると、少量のお茶を飲んだところで臨床的に影響があるとは言えないと考えるのが普通です。

 

しかし近年、お茶由来のポリフェノールの定期的な摂取により、腸内細菌叢に変化があるとの報告が挙がっています。

当初はマウスでの変化のみでしたが、現在はヒトでの報告も見られるようになっています。

 

主な内容としては他の文献と同様、カテキンを栄養として代謝する良い細菌群が増えるためと考えられているようです。

食物繊維と似た要素を感じます。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

2.摂取量と方法

推奨される量というのは現状ありません。

どちらかというと、カフェインの過剰摂取に注意する程度でしょうか。

 

参考値ですが、一般的な紅茶1杯には30㎎のカフェインが含まれ、珈琲は60㎎です。そう考えると、珈琲は4-5杯以下であり、紅茶はその2倍とすると8-10杯となるでしょうか。

そんなに飲む人はいないと思いますが。

 

摂取する時間は、食事の前後30分以内がい良いでしょう。

脂肪や糖質の吸収を抑えることを目的としているためです。

 

過剰摂取に関して、あまり気にしなくてもよいと思いますが、タンニンも注意が必要との記載がありました。

タンニンは鉄の吸収を抑制する作用があり、過量摂取では鉄分の吸収量が低下する可能性が示唆されています。慢性的な貧血がある人は積極的には摂取しない方がいいかもしれません。

 

余談ですが、紅茶も珈琲も基本的には暖かいものをお勧めします。

時折は清涼感を味わうためであればよいですが、習慣的には体を冷やすためです。

 

紅茶に関しては個人的に好きな銘柄が幾つかあるので、

今度別記事で書こうかと思います。

 

ではまた

筋肉量の低下と病気

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運動不足は不健康ですが、筋肉が少ないことが不健康だとはあまり言われません。

 

スポーツをしていない場合や近年の筋トレブームでもなければ、筋肉を鍛える人は限られます。

 

しかし近年、筋肉量の減少が病気につながる事が明らかになってきました。

また運動習慣がなく筋肉量が加齢に伴い減少する人が多く問題となっています。

 

今回はやや長期的な目線にたっての記事となります。

 

 

 

1.フレイルとサルコペニア

そもそも何故筋肉量が少ないと問題なのか。

筋肉のあるなしは見栄えは変われど、個人の趣味の範囲内だと思う人もいるようです。

 

また若い方は問題意識が現状ないため、そのまま歳をとり後から問題になる事が多いのです。

 

しかし加齢に伴い様々な病気に罹るにあたり、筋肉量との関連性が次第に示唆されるようになってきました。

筋肉量の減少により体重が減少した状態を「Sarcopenia ;サルコペニア」といい、それにより運動機能が低下した状態を「Frail syndrome;フレイル」といいます。

 

診断基準としては、

フレイルではFriedらの基準が、

サルコペニアではAWGS2019が用いられます。

 

〇Friedらの基準

 以下の内3項目以上該当でフレイル

 1-2項目でプレフレイル

 ・体重減少 半年で2-3kgの減少

 ・主観的疲労感 わけもなく疲労感があるか

 ・日常生活活動量の減少 運動習慣の頻度

 ・歩行速度の減弱 5m歩行で1m/s未満

 ・握力低下 男性26㎏未満、女性18㎏未満

 

〇AWGD2019 の基準

 

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診断基準の一部を抜粋したものになります。

太ももの太さを測り、握力の低下や、

椅子からの立ち上がり試験で陽性

であれば疑われます。

 

フレイルにより様々な病気が誘発されることが分かっており、

以下の様な報告が挙がっています。

 ・転倒と骨折

 ・末梢循環不全や冷え性

 ・動脈硬化の進行 

 ・心疾患(心不全等)の進行

 ・認知症

 

転倒と骨折

筋肉量の低下により運動機能が下がると、転倒とそれによる骨折の危険性が高まります。

特に歳とれば骨折が引き金で寝たきりになる方もいるため、大きな問題となっています。

 

末梢循環不全や冷え性

高齢者は勿論ですが、四肢の冷えは生活の質を大きく低下させます。

それらが様々な症状につながり、病院を受診するも病気ではないといわれ観察する方も多いでしょう。

 

動脈硬化の進行

未だ詳細は分かっていませんが、酸化ストレスの蓄積や慢性炎症、インスリンの効果が低下(インスリン抵抗性の上昇)することなどが報告されています。

 

joe.bioscientifica.com

 

それらにより、糖尿病や心筋梗塞脳梗塞認知症等を助長することが指摘され始めています。

 

そういった原因はある日突然出現するわけではなく、日々の積み重ねであることからも介入が難しいため、受診する際には既に病状が完成していることが殆どです。

 

心疾患の進行

筋肉量が低下した方では、心不全の発症率が多く、死亡率も高いことが分かっています。心機能が低下して運動量が下がり、それらが動脈硬化から脳梗塞に至る危険性も指摘されるほどです。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

2.日本の現状

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   出典:第53会日本婁年医学会学術集会

 

上図は日本におけるサルコペニア罹患率と年代のグラフです。

既に40歳から20-30%の方がサルコペニアと診断されており、運動習慣のない方は他人事ではないのが分かると思います。

 

体重でよく聞くBMI(Body Mass Index)でもある程度推測ができますが、問題なのはBMIが正常でも筋肉量だけ少ない方が多いということで、日本ではその傾向が強いようです。

 

運動習慣という観点からみてみても同様のことが分かります。

スポーツ庁平成31年に発表した「スポーツの実施状況に関する世論調査」では、成人の週一回以上のスポーツ実施率は55.1%であったそうです。

 

「平成30年度スポーツ実施状況に関する調査」

https://www.mext.go.jp/sports/content/1413747_001_1.pdf

 

およそ半分で習慣がないわけで、時間が経過すればサルコペニアになるのは容易に想像できます。

若いころから習慣化しておく必要を強く感じています。

 

 

少し長くなりましたし、内容が重めなので今回はここまで。

次回は具体的な対策について書こうと思います。

 

ではまた。