現代人は睡眠時間が短い。
Short sleeperなんていう言葉があるように、
生産効率であったり、生活習慣であったりと、
理由は様々ですが短い人も多いようです。
しかしその変化が肉体にどんな影響があるのか、
未だ十分には分かっていません。
しかし近年睡眠不足による変化について、
多数の報告が上がる様になりました。
今回はそれを踏まえ、わかっている範囲で書こうかと思います。
1.日本人の現状
日本人の睡眠時間は減少傾向にあるようです。
以前から御案内している「健康日本21」にも記載がありますが、就労環境や生活習慣、精神的な要素も相まって、睡眠時間が少ないひとが増えています。
出典:厚生労働省「睡眠時間の国際比較」
2.睡眠不足の健康被害
睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群、生活習慣病も増加傾向にあり、その関連性が指摘されています。
直接的に影響しているわけではないにせよ、原因の一つになっているのは疑いようがありません。
上図は睡眠時間と疾患の関連性を表した図です。
主に生活習慣病との関連性が報告されています。
日本では、京都大学が行った7,000人もの患者を集めたコホート研究があり、こちらでも同様の結果が出ていました。
コホート研究とは、特定の原因を持った方とそうでない方を追跡し、疾患の発症率等を調べる観察研究の一種です。やや確実性に欠けるものの、判断基準にはなるため参考とします。
以前にも書きましたが、若年者でも睡眠不足によって、脳内に認知症の原因と言われるアミロイドβが蓄積することが分かっています。
睡眠不足と認知症の関連は、恐らく強いと考えられます。こちらにReview articleを添付しますので、興味のある方はどうぞ。
3.原因
以下の様な原因が想定されます。
・就業環境
・生活習慣
・健康意識の欠如
就業環境
夜勤やシフト制就業、残業等により睡眠が不規則になる方が増えています。睡眠時間も短くなっており、この30年その傾向がずっと続いているのが現状です。
これは日本経済の低迷とも関係していると言われています。
旧態依然としたbusiness modelや、変化しない生産性から賃金が低下し、その分時間をかけなくてはならないためでしょう。
国は税金を増やす一方で、国民の意識も低く欲がないため新しいものが生まれませんでした。
生活習慣
上記賃金の低下も影響していますが、食の変化と運動習慣が関係しています。
食の西洋化で脂質摂取が増加し、安価で手に入る消費を目的とした食品が蔓延しています。
運動習慣も同様で、ここ数年はスポーツを行う方が増えていますが、今の40歳以上の方は基本的に趣味でもなければ運動習慣がありません。
仕事と家庭で手一杯で、手が回らないというのもあるのでしょう。
健康意識の欠如
何より大きいのが意識の問題でしょう。
健康とお金は基本的に勝ち取るものであり、与えられるものではありません。
自ら行動し意識しなければ基本的には良くなることはないのです。
そういった知識はない方が多く、教育現場でもあまり重視されないため、そもそも知らない方が多いのが実情です。
「知らない者は探さない」
知らなければ問題があることも分からず、注意も払わないという意味です。
情報がどれだけ重要か、痛感する次第です。
実は海外では睡眠教育が採用されている国が多数あります。
幼少期から睡眠の重要性や健康被害等を教えるそうです。
我が国も、数式や実用会話に使えるか分からない英語より、金融や性、健康についてもっと教える必要がある気がします。
次回は睡眠不足や不眠への対策について書こうかと思います。
ではまた。